SDGsとは?17の目標や意味を簡単にわかりやすく解説

SDGs(エスディージーズ)とは、「SustainableDevelopmentGoals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。これは、2015年9月にニューヨークの国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」で、国連加盟193か国によって採択された国際目標です。
SDGsは、貧困、不平等・格差、気候変動など、地球が抱えるさまざまな問題を解決し、2030年までに「誰一人取り残さない」持続可能でより良い世界を築くことを目指しています。そのために、経済、社会、環境の3つの側面から、相互に関連する17の目標と、それらをさらに具体化した169のターゲットが設定されています。
この記事では、SDGsの目標や取り組み事例について簡単にわかりやすく解説していきます。

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SDGsの基本的な概念

SDGsは地球上のすべての人々が将来にわたり安心して暮らせる社会を目指す、世界共通の17の目標から構成されています。これらの目標は、貧困や飢餓の撲滅から、質の高い教育の普及、ジェンダー平等の実現、気候変動対策、パートナーシップの強化まで、人間と地球環境の持続可能性に関わる幅広い課題に取り組むものです。この目標群は、2015年に国連加盟国によって採択された国際的な合意であり、「誰一人取り残さない」という理念のもと、経済・社会・環境の三側面からバランスの取れた発展を追求します。

SDGsとは何かを分かりやすく説明

SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称で、2015年の国連サミットで採択された世界共通の17の目標を指します。これは、地球上のあらゆる人々が将来にわたって安心して暮らせる社会を目指すためのものです。

「サステナブル(持続可能な)」とは、将来の世代のために地球環境や資源が守られ、今の状態が持続できることを意味します。 また、「開発」とは、すべての人が安心して自分の能力を十分に発揮しながら満足して暮らせることを指します。 これらの目標は、貧困や飢餓の撲滅、健康と福祉の向上、質の高い教育の普及、ジェンダー平等の実現、クリーンなエネルギーの普及、経済成長と働きがいのある労働の実現、産業と技術の革新、格差の縮小、持続可能な都市とコミュニティの実現、持続可能な生産消費、気候変動の対策、海洋と陸上の生態系の保全、平和と公正な社会の実現、パートナーシップの強化など、地球環境と地球に暮らす全ての人々が持続可能でいられることを目指して設定されています。

より分かりやすく要約すると、SDGsは「より良い世界を作っていくための世界共通の目標」であり、「貧困で困っている人をなくす」「差別のない社会を作る」「環境を大切にする」といった方針や目標が含まれています。

SDGsが作られた経緯

SDGsは、2015年9月にニューヨークの国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」で、国連加盟193か国によって採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の一部として示されました。なぜSDGsが必要とされたのかというと、その背景には、前身であるミレニアム開発目標(MDGs)の成果と課題がありました。MDGsは開発途上国に焦点を当てた目標であったのに対して、SDGsは「誰一人取り残さない」という理念のもと、先進国を含むすべての国が取り組むべき普遍的な目標として策定された点が大きな違いです。国際連合広報センターも、MDGsの達成状況とSDGsへの移行について情報を提供しています。SDGsは、経済発展だけでなく、環境や社会が抱える問題にバランスよく取り組み、その根本的な解決によって、世界を持続させることを目指しています。

前身であるMDGsの概要

MDGs(ミレニアム開発目標)は、正式名称を「MillenniumDevelopmentGoals」といい、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された「国連ミレニアム宣言」を基にまとめられた世界的な開発目標です。これは、開発途上国における貧困や教育、健康などに関する問題を解決することを目的に設定され、2015年までの達成を目指した8つの目標から構成されていました。
具体的には、「極度の貧困と飢餓の撲滅」「普遍的初等教育の達成」「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」「乳幼児死亡率の削減」「妊産婦の健康の改善」「HIV/エイズ、マラリアその他の疫病の蔓延防止」「環境の持続可能性の確保」「開発のためのグローバル・パートナーシップの推進」という8つの目標が掲げられました。MDGsの特徴は、数値目標と達成期限を設定し、成果を重視した開発目標であることです。MDGsは一定の成果を上げましたが、貧困層の減少が十分でない、格差問題への対応が不十分であるといった課題も残りました。そのため、2015年に達成期限を迎えたMDGsの後継として、より包括的で普遍的な目標であるSDGsが採択されることになったのです。

SDGsのロゴマークについて

SDGsのロゴマークは、17の目標をカラフルなアイコンで表現した円形のデザインで、それぞれの色とアイコンが特定の目標を表しています。このロゴは、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」というメッセージを視覚的に伝える役割を担っています。

SDGsの具体的な目標

SDGsは、貧困の根絶からパートナーシップの強化まで、多岐にわたる17の目標から構成されています。これらの目標は、互いに関連し合いながら、より良い世界の実現を目指しています。

SDGsにおける17の主要な目標

SDGsには、2030年までの達成を目指す、以下の17の主要な目標が設定されています。

SDGs 17の目標一覧

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレを世界中に
  • エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任、つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさを守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

これらの目標は、人権、経済・社会、地球環境といった多様な分野にまたがった課題を分類しており、それぞれが密接につながっています。個々の目標を達成するだけでなく、それらの関連性を理解し、統合的に取り組むことが重要です。

目標1: 貧困の根絶

SDGs目標1「貧困をなくそう」は、あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つことを目指しています。ここでいう貧困には、人間としての最低限の生活水準が満たされない「絶対的貧困」と、ある社会の大多数と比較して、相対的に低い生活水準にある「相対的貧困」の2つの概念が含まれます。2015年には8億3600万人もの人々が貧困の中で暮らしており、十分な食料や飲み水、衛生環境が整っていない状況が続いていました。この目標を達成するためには、食料不足の解決だけでなく、教育や医療の充実も不可欠であり、支援だけでなく、国のサービスやインフラ整備も重要となります。具体的なターゲットとしては、2030年までに1日1.25ドル未満で生活する極度の貧困を終わらせること、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある人々の割合を少なくとも半減させること、そして貧困層や脆弱層に対する社会保護制度や対策を強化することなどが挙げられています。世界銀行のデータによると、国際貧困ライン未満で生活する人の割合は減少傾向にありますが、富の集中による格差拡大や、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ侵攻といった国際情勢の変化が貧困問題を悪化させる要因として懸念されています。これらの課題に対し、SDGs目標1は、脆弱な状況にある人々を対象に、基本的な資源とサービスへのアクセスを改善し、紛争や気候変動関連の災害で被災したコミュニティを支援することで、2030年までに貧困を終わらせることを強くコミットしています。

目標2: 飢餓の撲滅

SDGs目標2「飢餓をゼロに」は、飢餓を終わらせ、食料安全保障と栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進することを目指しています。世界では、十分な食料を得られずに飢餓に苦しむ人々が依然として多く存在し、特に子供たちの栄養不足は深刻な問題となっています。この目標は、食料システム全体の変革を促し、持続可能な食料生産と供給を確保することに重点を置いています。具体的には、小規模生産者の所得向上や生産性の向上、遺伝子資源の多様性保持、食料投機の抑制、そして農業投資の強化などがターゲットとして掲げられています。また、フードロスや食品ロスを削減することも重要な要素であり、消費段階での無駄をなくす取り組みも求められています。持続可能な農業の推進は、土壌の劣化を防ぎ、水資源を保護し、生物多様性を守ることにもつながります。これにより、未来の世代も安心して食料を生産し、摂取できる環境を維持することを目指しています。

目標3: 健康と福祉の促進

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」は、あらゆる年齢のすべての人々が健康的な生活を送り、福祉を促進することを目指しています。この目標は、妊産婦や新生児、5歳未満児の死亡率削減、エイズや結核、マラリアといった感染症の撲滅、非感染性疾患や精神保健の改善、薬物乱用対策、交通事故による死傷者の半減など、広範な保健課題に対応しています。特に、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成は重要な柱であり、すべての人が経済的な負担なく質の高い保健サービスを受けられるようにすることを目指しています。また、医療従事者の育成や医薬品・ワクチンの研究開発とアクセス改善も含まれます。この目標は、病気の治療だけでなく、予防接種の普及、衛生環境の改善、健康的なライフスタイルの推進を通じて、人々の心身の健康と幸福を包括的に追求するものです。これにより、誰もが健康で充実した人生を送れる社会の実現を目指しています。

目標4: 質の高い教育の実現

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」は、すべての人々が包摂的かつ公正な質の高い教育を受け、生涯にわたる学習の機会を促進することを目指しています。世界では、約1.3億人の子供たちが学校に通えない状況にあり、特に紛争や災害の影響を受けている地域に多く集中しています。貧困世帯の子供は富裕世帯の子供と比べて未就学の比率が数倍高く、親の教育水準も子供の就学率に影響を与えるため、教育は貧困の連鎖を断ち切る上で極めて重要な要素です。この目標では、2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、無償で質の高い初等教育および中等教育を修了できるようにすること、質の高い乳幼児の発達・ケアと就学前教育へのアクセスを確保することなどが具体的に掲げられています。さらに、高等教育への平等なアクセス、技術的・職業的スキルを身につける機会の拡大、読み書き能力と基本的計算能力の向上、教育におけるジェンダー格差の解消なども目指されています。これらの目標達成には、子ども、障害、ジェンダーに配慮した教育施設の構築・改良や、質の高い教員の数を大幅に増加させるための国際協力も含まれます。質の高い教育は、持続可能な生活を送る能力を与え、貧困の連鎖を断ち切るだけでなく、不平等の是正やジェンダー平等など、他のSDGs目標の達成にも貢献する不可欠な要素です。

目標5: ジェンダー平等の達成

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、あらゆる場所において、すべての女性と女児に対する差別をなくし、ジェンダー平等を達成し、彼女たちのエンパワーメントを促進することを目指しています。これは、女性が男性と同等に権利を享受し、社会のあらゆる意思決定プロセスに完全かつ効果的に参加できる社会を構築することを意味します。具体的には、あらゆる形態の女性に対する暴力の撤廃、児童婚や強制的な結婚、女性器切除といった有害な慣習の排除がターゲットとして挙げられています。また、無報酬のケア労働や家事労働に対する認識を高め、公共サービスやインフラの提供を通じて負担を軽減することも含まれます。女性の政治、経済、公共生活における完全かつ効果的な参加を確保し、指導的地位への平等な機会を保障すること、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)への普遍的アクセスを確保することも重要な側面です。女性の経済的資源への平等な権利や、土地・財産に対する所有権と管理権限の保障も目指されています。この目標の達成は、単に女性の地位向上に留まらず、社会全体の多様性を尊重し、持続可能な発展を促進するために不可欠な基盤となります。

目標6: 安全な水と衛生設備の確保

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、すべての人々が安全な水と衛生施設を利用できるようにし、その持続可能な管理を確保することを目指しています。現在、世界人口の約4分の1にあたる22億人以上が安全な飲み水を使えず、約35億人が安全に管理されたトイレを使えない状況にあります。日本では当たり前のように清潔な水と衛生的なトイレが利用できますが、世界的にはむしろ珍しい状況です。水道設備がないために、身近な河川や池、湖から生活用水を確保しなければならない地域も多く、水質汚染や水資源の管理不足が問題となっています。この目標の達成のためには、安全で安価な飲料水への普遍的かつ平等なアクセス確保、適切な衛生設備と手洗い施設へのアクセス確保、水質汚染の削減、水利用効率の改善、統合的な水資源管理の実施、水関連生態系の保護・回復などがターゲットとして掲げられています。ユニセフなどの支援団体は、井戸の建設や簡易水道の設置など、安全な水を供給できる設備の整備や衛生的なトイレの設置に取り組んでいますが、世界全体に安全な水とトイレを普及させるためには、活動資金や人材が依然として不足しています。また、2030年までに7億人もの人々が水不足で住む場所を追われると予想されており、水問題の解決は喫緊の課題となっています。国や企業だけでなく、個人レベルでの節水や寄付による支援も、この目標達成に貢献できる具体的な取り組みです。

目標7: クリーンなエネルギーの普及

SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、すべての人々が安価で信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーを利用できるようにすることを目指しています。世界には、未だに電気が使えない地域や、薪や炭といった伝統的な燃料に頼らざるを得ない人々が多く存在します。これらの燃料の使用は、健康被害や森林破壊、気候変動の原因にもなります。この目標では、再生可能エネルギーの導入を大幅に拡大すること、エネルギー効率を改善すること、クリーンエネルギーに関する研究や技術への投資を促進することがターゲットとして掲げられています。エコフレンドリーなエネルギー源への移行は、大気汚染の削減や温室効果ガスの排出量削減に繋がり、地球環境の保護に大きく貢献します。また、エネルギーへのアクセスを拡大することで、教育、医療、経済活動など、人々の生活の質を向上させ、貧困の削減にも寄与します。政府や企業は、持続可能なエネルギー政策の推進や技術開発を進めることで、この目標達成に貢献することが期待されています。

目標8: 働きがいのある経済成長

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」は、すべての人々が完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を得られるようにし、包摂的かつ持続可能な経済成長を促進することを目指しています。世界では、働きたいのに仕事がない失業者が約1.9億人いるとされており、特に若者の失業率が問題となっています。また、仕事があっても、十分な収入が得られず貧困から抜け出せない人々や、児童労働や強制労働といった人権侵害にあたるような働き方がいまだに存在しています。この目標の達成のためには、各国の状況に応じた一人当たり経済成長率の持続、高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことによる経済生産性の向上、生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性およびイノベーションを支援する開発重視型の政策の促進が求められます。さらに、金融サービスへのアクセス改善を通じた中小零細企業の設立や成長の奨励、若年雇用のための世界的戦略の実施、移住労働者を含むすべての労働者の権利保護と安全・安心な労働環境の促進、現代の奴隷制や人身売買、最悪な形態の児童労働の撲滅なども重要なターゲットです。日本でも、長時間労働の是正、ワークライフバランスの確立、非正規雇用の増加と雇用の質の格差、ジェンダー間の賃金格差や管理職における女性比率の低さといった課題があり、ディーセント・ワークの推進が求められています。企業は、従業員の健康と安全を確保するための職場環境改善やメンタルヘルスサポートの充実、多様な働き方への対応、ハラスメントの根絶などを通じて、この目標に貢献することができます。経済成長は、環境への配慮や人権の尊重と両立し得るものでなければならず、貧困や飢餓の根絶とも密接に関わっています。

目標9: 産業と技術革新の基盤構築

SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、強靱なインフラを構築し、包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、イノベーションを推進することを目指しています。インフラとは、電気、ガス、水道、道路、交通機関、インターネットなど、社会生活を支える基盤となるものを指します。開発途上国では、これらのインフラが十分に整備されていない地域も多く、経済発展や人々の生活の質向上を阻害する要因となっています。この目標は、すべての人々が安価で公平にインフラを利用できるようにすること、持続可能な産業化を促進すること、科学的研究を強化し、すべての国で技術能力を向上させること、そしてイノベーションと技術開発を支援することなどをターゲットとしています。また、中小企業の金融サービスへのアクセスを改善し、バリューチェーンへの統合を促進することも含まれます。この目標の達成は、経済成長を促し、雇用を創出し、貧困削減にも貢献します。同時に、環境に配慮した産業化を進め、持続可能な開発の基盤を築くことが重要です。

目標10: 不平等の是正

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」は、国内および国家間の不平等を是正することを目指しています。この目標は、所得、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、経済的地位などに基づくあらゆる形態の差別をなくし、特定のグループが不利な状況に置かれることを防ぐことを意図しています。具体的には、所得下位40%の人々の所得成長率を国平均より高めること、社会・経済・政治的な機会の不平等をなくすための政策を推進すること、そして差別的な法律や政策を撤廃することがターゲットとして挙げられています。また、国際的な移民政策を効果的に管理し、移住者の安全と尊厳を確保することも含まれます。開発途上国の、特に最貧困国や小島嶼開発途上国における、国際的な意思決定機関への参加を拡大し、その発言力を高めることも重要です。この目標の達成は、社会の包摂性を高め、誰もが尊重され、能力を最大限に発揮できる公平な社会を築く上で不可欠です。不平等を是正することで、社会の安定性が増し、持続可能な発展の基盤が強化されます。

目標11: 持続可能な都市とコミュニティ

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は、包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現することを目指しています。世界人口の半数以上が都市部に居住しており、2030年には6割に達すると推定されています。都市化の急速な進展は、スラムの拡大、治安の悪化、環境汚染、大気汚染、水質汚濁といった深刻な問題を引き起こしています。この目標は、すべての人々が適切で安全かつ安価な住宅と基本的なサービスにアクセスできるようにし、スラムの状況を改善することを掲げています。また、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供することも目指されています。さらに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、文化遺産や自然遺産の保護・保全、貧困層や脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、災害による死者や経済的損失を大幅に削減することなども重要なターゲットです。日本では、少子高齢化を背景に、コンパクトシティやスマートシティといった、ICT等の新技術を活用し持続可能な都市化を目指すコンセプトが注目されています。政府による「SDGs未来都市」事業なども進められており、地方創生とSDGsの目標達成を両立させる取り組みが行われています。企業もまた、安全で安心な住まいの提供、交通インフラの整備、環境に配慮した都市環境の実現などを通じて、この目標に貢献することが求められています。

目標12: 責任ある生産と消費

SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」は、持続可能な生産消費形態を確保することを目指しています。これは、限りある地球の資源を将来の世代も利用できるように、生産から消費、そして廃棄に至るまでの全ての段階で、資源の効率的な利用と環境負荷の低減を図ることを意味します。具体的には、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用、食品廃棄物の削減、化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理、そして企業による持続可能性に関する情報開示の促進などがターゲットとして挙げられています。特に、食品ロスやフードロスの問題は世界的に深刻であり、生産から流通、消費までの各段階での無駄をなくすことが求められています。また、ファッション産業における大量生産・大量消費の問題にも焦点を当て、リサイクルやリユースといった再利用の推進、そして循環型経済への移行もこの目標の重要な側面です。消費者側も、環境に配慮した製品を選ぶ、不要なものを買わない、長く使う、ゴミを減らすといった行動を通じて、この目標達成に貢献することができます。政府、企業、そして個人の三者が連携し、持続可能な生産消費のパターンを確立することが、地球環境の保護と資源の保全のために不可欠です。

目標13: 気候変動対策

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は、気候変動とその影響に立ち向かうための緊急対策をとることを目指しています。気候変動は、地球温暖化の進行によって引き起こされる異常気象、海面上昇、生態系の変化など、地球全体に深刻な影響を及ぼしています。この目標は、気候変動関連の災害に対するレジリエンスと適応能力を強化すること、気候変動対策を国家政策や戦略に統合すること、そして気候変動の緩和と適応、早期警戒に関する教育、啓発、人的・制度的能力を向上させることをターゲットとしています。先進国は、開発途上国が気候変動対策に取り組むための資金提供や技術移転を強化することも求められています。地球温暖化の主な原因である温室効果ガスの排出量を大幅に削減するために、再生可能エネルギーへの転換、省エネルギー技術の導入、森林保護などが具体的な取り組みとして挙げられます。企業は、事業活動における温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、サプライチェーン全体で環境負荷の低減に取り組むことが重要です。個人も、日常生活における省エネや、公共交通機関の利用、リサイクルなどを通じて、気候変動対策に貢献できます。

目標14: 海洋資源の保護

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」は、持続可能な開発のために海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することを目指しています。海は地球の表面の大部分を占め、気候の安定化、生物多様性の維持、食料供給など、人類にとって不可欠な役割を担っています。しかし、海洋汚染、過剰漁業、海洋酸性化といった問題が海の豊かさを脅かしています。この目標は、海洋汚染を大幅に削減すること、海洋生態系とその生物多様性を管理し保護すること、違法・無報告・無規制漁業を終わらせること、そして海洋酸性化の影響に対処することなどをターゲットとしています。また、沿岸の小規模漁業者に対する資源と市場へのアクセスを確保することも含まれます。環境を守るためには、プラスチックごみの削減や適切な廃棄物処理、持続可能な漁業の実践、海洋保護区の拡大などが求められます。企業は、サプライチェーンにおける環境負荷の低い資材調達や、海洋環境に配慮した事業活動を行うことが重要です。個人も、使い捨てプラスチック製品の使用を控えたり、環境に配慮した製品を選んだりすることで、海の豊かさを守る活動に貢献できます。

目標15: 陸上生態系の保護

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」は、陸上生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止と回復、生物多様性の損失の阻止を目指しています。森林は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収し、多くの生物の生息地となるなど、地球環境において極めて重要な役割を果たしています。しかし、森林破壊や砂漠化の進行、生物多様性の損失が世界各地で深刻な問題となっています。この目標は、森林の持続可能な管理を促進し、森林破壊を阻止すること、劣化した土地や土壌を回復させること、砂漠化に対処すること、そして生物多様性の損失を阻止することなどをターゲットとしています。また、絶滅危惧種の保護や、外来種の侵入防止、遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分も含まれます。環境を守るためには、森林伐採の抑制、植林活動の推進、野生生物の違法取引の撲滅、そして持続可能な農業や土地利用の実践が求められます。企業は、原材料調達において森林破壊に加担しないサプライチェーンを構築し、生態系への影響を最小限に抑える取り組みを進めることが重要です。個人も、認証された木材製品を選ぶ、地域の自然保護活動に参加するなどで、陸の豊かさを守る活動に貢献できます。

目標16: 平和と公正な社会の実現

SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」は、持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築することを目指しています。世界には、紛争や暴力、テロ、犯罪によって人々が苦しむ地域が依然として多く存在します。また、汚職や腐敗、不公正な司法制度も、社会の安定と発展を阻害する大きな問題となっています。この目標は、あらゆる形態の暴力と関連する死亡率を大幅に削減すること、子どもに対する虐待、搾取、人身売買、あらゆる形態の暴力を終わらせること、違法な資金の流れと武器の取引を大幅に削減し、汚職と贈賄をあらゆる形態で減少させることなどをターゲットとしています。さらに、効果的で説明責任を果たす包摂的な制度をあらゆるレベルで構築すること、公開されたアクセス可能な立法および政策決定を確保すること、そして基本的な自由を保護し、国内法や国際協定に従って情報への公共アクセスを確保することも含まれます。平和と公正な社会の実現は、他のSDGs目標の達成の基盤となります。政府、市民社会、そして国際機関が連携し、法の支配を強化し、人権を尊重する社会を構築することが不可欠です。

目標17: 目標達成に向けたパートナーシップ

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化することを目指しています。SDGsの17の目標は、いずれも単独で達成できるものではなく、政府、企業、市民社会、そして個人が一体となって取り組む「つながり」と「協力」が不可欠です。この目標は、開発途上国への資金援助、技術移転、貿易の促進、データ・モニタリングおよび説明責任といった、目標達成のための具体的な手段を強化することをターゲットとしています。特に、先進国は開発途上国への政府開発援助(ODA)コミットメントを完全に実施することが求められています。また、複数の財源から開発途上国のための追加的資金源を動員することや、グローバル・マクロ経済の安定性を強化することも含まれます。国際協力の強化だけでなく、国内においても、異なるセクターやアクター間の連携を深めることが重要です。例えば、企業がNPO/NGOと連携して社会課題解決に取り組むことや、自治体と住民が協働して地域課題に取り組むことなどが挙げられます。SDGsは地球に住むすべての人たちがより幸せな未来を手に入れられるように、世界が一緒になってさまざまな問題に取り組むものであり、国と国の協力はもちろん大切ですが、もっと広く大勢の人たちがパートナーシップ(協力関係)を持って協力し合うことが必要とされています。

169のターゲットについて

SDGsには、17の目標をさらに具体的にするための「169のターゲット」が設定されています。これらのターゲットは、それぞれの目標がどの程度達成されているかを確認するための、より詳細な指標として機能します。
例えば、目標1「貧困をなくそう」には、1日1.25ドル未満で生活する人々の割合を半減させる、社会保護制度を導入する、といった具体的なターゲットが含まれています。また、目標4「質の高い教育をみんなに」には、無償かつ公正で質の高い初等教育および中等教育を修了させることや、読み書き能力および基本的計算能力を身につけさせることなどのターゲットがあります。
これらのターゲットは、各国や地域がそれぞれの状況に合わせて取り組むべき課題を明確にする役割を果たします。ターゲットの中には、数字で示される達成目標と、アルファベットで示される実現のための方法を示すものがあります。169のターゲットは多岐にわたりますが、それらを包括的に理解し、相互に関連する形で取り組むことが、SDGs全体の達成には不可欠です。

SDGsを理解するための視点

SDGsをよりわかりやすく理解するには、「5つのP」の視点が非常に有効です。「人間」「繁栄」「地球」「平和」「パートナーシップ」という5つの要素で構成され、それぞれがSDGsの重要な側面を示しています。これらの要素は相互に連携しており、各Pに関連する目標を包括的に捉えることで、SDGsが目指す持続可能な世界の全体像をより深く理解できます。

また、「ウェディングケーキモデル」という視点も有効です。これは、環境(生物圏)が社会(社会圏)の基盤となり、その上に経済(経済圏)が成り立つという関係性を視覚的に示しています。環境問題への取り組みが社会や経済の持続可能性を支えることを意味しており、SDGsの目標が密接につながっていることを理解するのに役立ちます。

「5つのP」の視点

SDGsの17の目標は多岐にわたり複雑に見えますが、「5つのP」という5つのキーワードで考えると、その全体像をよりわかりやすく理解できます。「5つのP」とは、「People(人間)」「Prosperity(繁栄)」「Planet(地球)」「Peace(平和)」「Partnership(パートナーシップ)」の頭文字をとったもので、SDGsが目指す持続可能な世界の重要な側面を表しています。これらの要素は互いに関連し合っており、それぞれをバランスよく考慮することで、SDGsの本質的な意味を深く理解できるようになります。

・人間(People)

人間は、SDGsにおける最も基本的な視点の一つであり、貧困、飢餓、健康、福祉、教育、そして差別といった人類が直面する基本的な課題の解決を目指します。このPには、目標1貧困をなくそう、目標2飢餓をゼロに、目標3すべての人に健康と福祉を、目標4質の高い教育をみんなに、目標5ジェンダー平等を実現しよう、目標6安全な水とトイレを世界中にが含まれます。具体的には、あらゆる形態の貧困を終わらせ、飢餓を撲滅し、食料安全保障を達成することを目指します。また、すべての人々が健康で幸福な生活を送れるように、あらゆる年齢層の健康と福祉を促進し、質の高い教育への普遍的なアクセスを確保し、生涯学習の機会を促進します。さらに、ジェンダー平等を達成し、女性と女児のエンパワーメントを図り、あらゆる場所で差別をなくすことを目指します。これらの目標は、すべての人々が尊厳を持って生きられる社会を築くための基盤となります。

・繁栄(Prosperity)

繁栄(Prosperity)は、SDGsが目指す持続可能な経済成長と、すべての人々が豊かで充実した生活を送れる社会の実現に焦点を当てています。このPには、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標11「住み続けられるまちづくりを」が含まれます。具体的には、安価で信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保し、すべての人々が働きがいのある人間らしい仕事を得られるよう、包摂的かつ持続可能な経済成長を促進します。また、強靱なインフラを構築し、包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、イノベーションを推進します。国内および国家間の不平等を是正し、包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市と人間居住を実現することも重要な目標です。繁栄は、単なる経済的な豊かさだけでなく、社会全体が恩恵を受けられるような公正な分配と、環境との調和が不可欠です。

・地球(Planet)

地球(Planet)は、SDGsの中核をなす環境保護の側面であり、地球の天然資源を持続可能な形で管理し、気候変動や生態系の劣化を防ぐことを目指します。このPには、目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」が含まれます。これらの目標は、持続可能な消費と生産のパターンを確保し、気候変動とその影響に立ち向かうための緊急対策を講じることを含みます。また、海洋、海、海洋資源を持続可能な開発のために保全し、持続可能な形で利用すること、そして陸上生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止と回復、生物多様性の損失の阻止も重要な要素です。環境問題は、私たちの社会や経済活動の基盤であり、地球の持続可能性なくしては、人間の繁栄も平和も実現できません。そのため、これらの環境に関する目標は、SDGsウェディングケーキモデルの最下層に位置づけられ、他のすべての目標を支える基盤となっています。

・平和(Peace)

平和はSDGsの根幹をなす要素であり、持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の実現に焦点を当てています。このPには、目標16「平和と公正をすべての人に」が含まれます。具体的には、あらゆる形態の暴力と関連する死亡率を大幅に削減すること、子どもに対する虐待、搾取、人身売買、あらゆる形態の暴力を終わらせること、そして汚職や贈賄をあらゆる形態で減少させることを目指します。また、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築し、すべての人々に司法へのアクセスを提供することも重要な側面です。平和な社会なくしては、経済的な繁栄も環境保護も実現することは困難であり、人々の生活の質を向上させることもできません。平和は、個人の尊厳が守られ、誰もが安心して暮らせる社会の基盤となるのです。

・パートナーシップ(Partnership)

パートナーシップ(Partnership)は、SDGsの17番目の目標であり、すべての目標達成に向けて、多様な主体が協力し合うことの重要性を示しています。これは、政府、企業、市民社会、そして個人といった、地球上のすべての人々がより幸せな未来を手に入れるために、国や地域の垣根を越えて協力関係を築くことを意味します。目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、資金、技術、能力構築、貿易、制度的枠組み、マルチステークホルダー・パートナーシップ、データ・モニタリングおよび説明責任といった多岐にわたる実施手段の強化が掲げられています。特に、開発途上国への資金援助や技術移転の強化、公正な貿易システムの構築などが重要な要素です。SDGsは、どの目標も単独で達成できるものではなく、グローバルな課題に対して、世界が一体となって取り組むことが不可欠です。そのため、国と国の協力だけでなく、企業や地域社会、学校、家庭など、あらゆるレベルでの協力が求められます。パートナーシップは、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会の実現に向けた、具体的な行動を推進するための鍵となります。

ウェディングケーキモデルの視点

SDGsの17の目標を理解する上で、「ウェディングケーキモデル」という視点があります。これは、スウェーデンのストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム所長らが提唱した概念で、SDGsの目標を「生物圏(Biosphere)」「社会圏(Society)」「経済圏(Economy)」の3つの層に分類し、それらがウェディングケーキのように積み重なっている様子を表現しています。このモデルは、最も下の層に「生物圏」があり、その上に「社会圏」、さらにその上に「経済圏」が乗っている構造になっています。これは、私たちの社会や経済活動が、地球の健全な環境である「生物圏」という基盤の上に成り立っていることを示しています。つまり、気候変動や海洋汚染などの環境問題(生物圏)が解決されなければ、貧困や教育といった社会問題(社会圏)の解決も難しく、結果として経済発展(経済圏)も持続不可能になるという考え方を表しています。SDGsの目標は個別に達成するものではなく、すべてが密接につながっているため、環境問題への取り組みが他の社会問題や経済問題の解決にも繋がるという、統合的な視点の重要性を強調しています。特に、生物圏に関連する目標は、短期的な効果が見えにくいものの、社会圏と経済圏を支える上で最も重要な基盤であり、その保全と回復には長期的な視点と相応の時間、コストが必要とされています。このウェディングケーキモデルは、SDGsの目標間の相互依存関係を視覚的に捉え、持続可能な開発の全体像を理解するのに役立ちます。

SDGsへの取り組みと効果

企業がSDGsに貢献することは、ブランドイメージの向上と企業価値の向上に繋がり、ESG投資の観点からも重要性が増しています。社会課題の解決を目指す取り組みは新たなビジネスチャンスを生み出し、優秀な人材の確保と定着にも寄与します。環境規制や人権問題などのリスクを事前に特定し対応することで、リスクマネジメントの強化にも繋がるでしょう。ここからは具体的な取り組み事例を踏まえて解説します。

SDGsに取り組む利点

企業がSDGsに取り組むことには、多くの利点があります。
まず、企業のブランドイメージ向上と企業価値の向上に繋がります。SDGsへの積極的な取り組みは、社会貢献への意識が高い企業として認識され、消費者や投資家からの信頼と評価を高めます。特に近年注目されるESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)の観点からも、SDGsへの取り組みは企業の持続可能性を示す重要な指標となります。
次に、新たなビジネスチャンスの創出の機会にもなります。SDGsが掲げる社会課題の解決は、新たな製品やサービス開発のヒントとなり、市場開拓やイノベーションを促進します。例えば、再生可能エネルギーや環境負荷の低い素材の開発、貧困地域のニーズに応えるビジネスモデルの構築などが挙げられます。
また、優秀な人材の確保と定着にも貢献します。社会貢献意識の高い若者を中心に、SDGsに取り組む企業で働きたいと考える人材が増えており、従業員のエンゲージメント向上や離職率の低下にも繋がります。
さらに、リスクマネジメントの強化も挙げられます。SDGsに取り組むことで、環境規制や人権問題など、将来的に企業活動に影響を及ぼしうるリスクを事前に特定し、対策を講じることが可能になります。
これにより、企業のレジリエンス(回復力)を高め、予期せぬ事態にも対応できる体制を構築できます。サプライチェーン全体でのリスク管理も強化され、持続可能な事業運営が可能となります。

日本におけるSDGsへの取り組み

日本は、政府、企業、国民レベルでSDGs達成に向けた様々な取り組みを進めています。政府は「SDGs推進本部」を設置し、SDGs達成に向けた政策の策定と実施を主導しています。企業も、SDGsを経営戦略の中核に据え、環境負荷低減、労働環境改善、地域社会への貢献など、多岐にわたる取り組みを行っています。また、地方自治体では「SDGs未来都市」を選定し、地域特性に応じた持続可能なまちづくりを推進しています。国民一人ひとりも、日常生活における節電や節水、食品ロスの削減、リサイクル、エシカル消費などを通じて、SDGsへの貢献が期待されています。

政府による取り組み事例

日本政府はSDGsの達成に向けて多角的な取り組みを進めています。2016年5月には内閣総理大臣を本部長とするSDGs推進本部を設置しSDGs実施指針を策定しました。これにより政府全体でSDGsへの取り組みを推進する体制が確立されています。具体的な取り組みとしては開発途上国への政府開発援助を通じたSDGs目標達成への貢献が挙げられます。例えば国際協力機構を通じて貧困削減質の高い教育保健医療水と衛生再生可能エネルギーといった分野で技術協力や資金援助を行っています。
また国内においてはSDGs未来都市の選定事業を進めています。これは自治体が地域の課題解決と持続可能な社会の実現を両立させる優れた取り組みを提案し政府がそれを支援するものです。環境モデル都市や環境未来都市の選定事業の延長線上にあるこの取り組みは少子高齢化が進む日本においてコンパクトシティやスマートシティといった概念を取り入れ持続可能な地域社会の構築を目指しています。
さらに政府はSDGs達成に向けた企業の取り組みを後押しするためSDGsビジネスに関する情報提供や支援策も講じています。

企業による取り組み事例

SDGs(持続可能な開発目標)は、もはや「社会貢献活動」だけの枠を超え、企業の競争力や中長期の価値創造に直結する経営テーマとなっています。日本企業の多くは、自社の強みや事業特性を活かしながら、環境負荷の低減、資源循環、社会課題の解決に取り組んでいます。ここでは3つの企業を取り上げてご紹介します。

日本航空(JAL)は、航空事業の特性を活かした社会貢献と環境配慮を両立しています。機内募金や未使用外貨を活用した支援、食を通じて途上国の給食を支えるプログラムなど、移動と物流のインフラを社会課題解決に結び付けています。さらに、燃費改善や持続可能な航空燃料の活用など、環境負荷低減にも継続的に取り組んでいます。

イオンは、流通・小売の立場からサプライチェーン全体の持続可能性を高めています。2050年の脱炭素を見据えた長期ビジョンを掲げ、店舗の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めるとともに、フェアトレード商品や環境認証商品を拡充。日常の購買行動を通じて、消費者とともにSDGsを推進しています。

サントリーは、「つくる責任・つかう責任」を軸に、容器包装のサステナブル化を加速させています。ペットボトルの再生素材化や、回収・リサイクルの高度化により、資源循環型のものづくりを実装。水資源の保全活動や森林保全にも長年取り組み、事業と環境保全の両立を図っています。

花王は、詰め替え製品の普及やバイオマス原料の活用などを通じて、プラスチック使用量の削減と環境負荷低減を推進しています。製品設計の段階から環境配慮を組み込み、日用品という生活に密着した分野で、持続可能な選択肢を広げている点が特徴です。

ファーストリテイリング(ユニクロ)は、衣料の回収・再利用を行うリサイクルプログラムを展開し、廃棄物削減と資源循環を推進しています。使用済み衣料を再生して再び製品や支援物資として活用する取り組みは、アパレル業界が抱える環境負荷の課題に対する実践的な解決策の一つとなっています。

日立製作所は、2030年の自社オペレーションでのカーボンニュートラル達成、さらに2050年にはサプライチェーン全体での脱炭素を目標に掲げています。エネルギー、デジタル、インフラ分野の技術を活用し、顧客企業の省エネ・効率化を支援することで、社会全体の環境負荷低減に貢献しています。

資生堂は、女性活躍の推進や持続可能な原材料調達、環境配慮型の容器開発など、多面的なSDGs施策を展開しています。再生可能エネルギーの活用拡大や廃棄物削減の取り組みも進め、美と環境、社会の調和を企業活動の中心に据えています。

鹿島建設や大林組などの建設・インフラ企業は、低炭素建材の開発、再生可能エネルギー関連プロジェクト、木造建築の推進などを通じて、建設分野の環境負荷低減に取り組んでいます。都市のヒートアイランド対策やグリーンインフラ整備など、社会インフラの高度化を通じて、持続可能なまちづくりを支えています。

また、地域企業やスタートアップでも、農産物の未利用資源を製品化するアップサイクルや、衣料の回収・再生事業など、独自の切り口でSDGsに貢献する事例が増えています。規模の大小を問わず、自社の強みを社会課題の解決に結び付ける動きが広がっています。

これらの事例に共通するのは、SDGsを「理念」にとどめず、事業プロセスや製品・サービスに組み込んでいる点です。 環境負荷の低減、資源循環の促進、社会的包摂の実現といった取り組みが、結果として企業の信頼性向上や新たな価値創出につながっています。SDGsは、企業にとって持続可能な成長を実現するための実践的な経営指針となりつつあるのです。

【まとめ】SDGsを理解し今から始められることは何か考えよう!

SDGsは、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための、国際社会共通の17の目標です。これらの目標は、貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー平等、水と衛生、エネルギー、働きがいのある経済成長、産業と技術革新、不平等の是正、持続可能な都市、責任ある生産と消費、気候変動対策、海洋資源の保護、陸上生態系の保護、平和と公正、そしてパートナーシップという多岐にわたる分野を網羅しています。

企業としてSDGsを理解し、できることを考えることは、社会貢献だけでなく、新たなビジネスチャンスの創出や企業価値の向上にも繋がります。自社の事業内容と関連性の高い目標から取り組みを始め、サプライチェーン全体での持続可能性を追求することが重要です。例えば、製造業であれば環境負荷の低い生産プロセスの導入やリサイクル推進、サービス業であれば従業員の働きがい向上や地域貢献活動などが考えられます。また、SDGsはすべての目標が密接に連携しているため、特定の目標への取り組みが他の目標にも良い影響を与えることを意識することも大切です。2030年という期限に向けて、自社の強みを活かし、具体的な行動計画を立てて実践していくことが求められます。