今、この地球では様々な環境問題が立ちはだかり、解決に向けた具体的な取り組みが求められています。
この記事では、私たちが身近に感じる地球の環境問題5つ取り上げ、世界各国の具体的な取り組みをご紹介します。さらに、地球環境問題について、普段の生活にも取り入れられる身近な取り組みも紹介します。
この記事を通して環境問題の知識を深め、解決に向けた身近な一歩を踏み出しましょう!
現在起きている環境問題
地球は今、様々な環境問題に直面しています。その中でも、特に我々の生活や自然環境に深刻な影響を及ぼしている5つの問題に焦点を当て、その現状について詳しく見ていきましょう。
1. 地球温暖化
地球温暖化は、私たち人類が引き起こした地球規模の課題の一つであり、その影響は広範に及んでいます。地球温暖化は、大気中の二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの増加により、地球の平均気温が上昇することにより引き起こされています。この温室効果ガスの増加は、化石燃料を使用した産業活動により、二酸化炭素の排出量が増加したことが主な原因とされています。
特に、過去数十年間で温暖化のペースが加速しており、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(AR6)によると、1850〜1900年を基準とした世界平均気温は2011〜2020年の間で1.1℃上昇しました。
また地球温暖化は気候変動を引き起こし、極端な天候や自然災害の増加につながっています。例えば、熱波、干ばつ、洪水、台風やハリケーンの強度増加などが報告されています。これらの現象は、私たちの生活環境に直接的な影響を及ぼし、生活の安全性を脅かしています。
さらに、地球温暖化により、極地の氷が急速に溶けて海面が上昇し、沿岸地域や島国に深刻な影響を及ぼしています。これにより、人々の生活環境や生態系が脅かされ、生物多様性の保護や持続可能な生活環境の確保が難しくなっています。
また、気候変動は農業にも大きな影響を与えています。気温の上昇や降雨パターンの変化は、作物の生育に影響を及ぼし、食糧生産に問題を引き起こしています。これは、食糧安全保障という観点からも深刻な問題であり、地球温暖化の影響が私たちの生活のあらゆる面に及んでいることを示しています。
2. 海洋汚染
海洋汚染には様々な要因があり、産業廃棄物、プラスチック廃棄物、油漏れなどが主な要因とされています。
ー産業廃棄物
工場から排出される有害な産業廃棄物は、しばしば海洋に流れ込みます。これらの物質は海洋生物に有害であり、特に脆弱なサンゴ礁などの生態系を破壊しています。また、これらの化学物質は海洋の酸性化を進行させ、海洋生物の生存を脅かしています。
ープラスチック廃棄物
近年では海洋に流出するプラスチックの問題が深刻化しています。流出されたプラスチックの大部分は微細なプラスチック粒子、いわゆるマイクロプラスチック(一般に5mm以下の微細なプラスチック類)に分解されます。これらが海洋生物に摂取されると、食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼす可能性があります。
毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算や、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もあり、海洋生物は死滅の危機に立たされ、生態系全体が破壊されようとしています。
ー油漏れ
さらに、油漏れも依然として大きな問題です。船舶の事故や油田からの漏出により、海洋に大量の原油が流出することがあります。油漏れは海洋生物に直接的なダメージを与え、海洋生態系が大きく損なわれます。
3. 大気汚染
大気汚染は、大気中に有害物質が放出されることで起こります。これらの有害物質は、自然のプロセス(火山噴火や森林火災など)や人間の活動(産業、交通、焼却など)によって生じます。大気汚染物質の主な種類には、二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、オゾン(O3)、挥発性有機化合物(VOCs)、重金属、そして微細粒子(PM)などがあります。これらは、人間の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、地球の気候にも影響を与えます。
特に、微細粒子(PM2.5やPM10)は、人間の呼吸器系に深く浸透し、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が懸念されています。また、二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)は、酸性雨の原因となり、土壌や生態系、建造物にまで悪影響を及ぼします。
二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、窒素酸化物(NOx)などは温室ガスであり、地球温暖化の一因にもなっています。
現在、大気汚染は世界中で深刻な問題となっており、世界保健機関(WHO)によると、2019年に世界人口の 99 % は、WHO大気の品質ガイドラインレベルを達成していない場所に住んでいたと報告されています。
特に、発展途上国では大気汚染が深刻化しており、産業化の進行、人口増加、都市化に伴う自動車の増加などが大気汚染の原因となっています。
一方、先進国でも大気汚染は依然として問題です。特に、交通量の多い都市や工業地帯では、大気汚染が健康問題を引き起こしています。また、農業活動によるアンモニアの放出や、森林火災による煙も大気汚染の原因となっています。
4. 森林破壊
森林破壊は地球全体の深刻な環境問題であり、その影響は極めて広範に及びます。森林は地球の「肺」とも称され、大量の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する役割を果たしています。具体的には、全世界の森林が、地球上で排出される二酸化炭素の約1/5を吸収する大きな力を有しているとされています。
しかし、過度の伐採、焼畑農業、都市開発などにより、森林は急速に減少しています。特に、アフリカや東南アジアなどでは、大規模な森林が一部の農業開発や違法伐採により破壊され、その大気調節機能が著しく低下しています。
現在、世界の森林面積は毎年約130,000平方キロメートル、つまり30秒ごとにサッカーフィールド1面分が失われていると言われています。特に熱帯雨林の破壊は深刻で、地球上の生物種の約半分を抱えており、その生物多様性の喪失は計り知れません。
この森林破壊は、気候変動の原因の一つとされています。森林が二酸化炭素を吸収する能力が失われると、大気中の二酸化炭素濃度が上昇し、地球温暖化を引き起こします。
また。森林は地球上の水循環にも重要な役割を果たしています。森林がなくなると、土壌の保水能力が低下し、洪水や干ばつなどの自然災害のリスクが高まります。
さらに、森林破壊は土壌侵食を引き起こし、農地の肥沃性を低下させます。これは、食糧生産に影響を及ぼし、飢餓問題を悪化させる危険性があることを示しています。
5. 生物多様性の危機
生物多様性は、生態系の多様性、種の多様性、そして遺伝子の多様性の3つのレベルで考えられます。
生態系の多様性は、地球上の異なる生態系、つまり森林、草原、湿地、海洋などの数とその特性を指します。
種の多様性は、地球上に存在する種の数とその分布を指します。これには、微生物から植物、動物まで、全ての生命形態が含まれます。
遺伝子の多様性は、同じ種内の個体間の遺伝的な違いを指します。これは、種の適応能力と生存能力に直接関わります。
しかし、現在、生物多様性は深刻な危機に直面しています。これは、人間の活動による影響が主な原因となっています。生物種の絶滅が進行しており、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストによると、評価された種の約4分の1が絶滅の危機に瀕しています。これは、森林伐採、過度な漁業、違法な野生生物の取引などによる生息地の破壊や乱獲によって引き起こされています。
また、遺伝的多様性の損失も問題となっています。農業や畜産における遺伝的均一化は、病害虫の蔓延や気候変動に対する耐性を低下させ、食糧安全保障を脅かしています。
さらに、生態系の破壊も進行しています。都市開発、農地開発、鉱業などにより、多くの生態系が消失または劣化しています。これにより、生態系によって守られていた洪水防止、炭素吸収、水質浄化などの機能が損なわれてしまいます。
世界の環境問題への取り組み
地球温暖化、海洋汚染、大気汚染、森林破壊、生物多様性などの深刻な環境問題に直面しており、それは国や地域の枠を超え全世界で深刻化しています。
ここからは、これらの課題を解決するために世界で進められている取り組みをご紹介します。
国連気候変動枠組条約
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、気候変動問題に対する国際的な対策を定めた条約です。1992年の国連総会で採択、1994年に条約が発効され、現在ではほぼ全ての国が批准しています。
この条約の主な目的は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の濃度を安定化させることです。全締約国は温室効果ガスの排出・吸収の目録、温暖化対策の国別計画の策定することが義務付けられています。さらに、先進国は追加義務として途上国への資金供与や技術移転の推進などの義務もおっています。
この条約は京都議定書やパリ協定など、具体的な温室効果ガス削減の取り組みを進めるための基盤となっています。
パリ協定
パリ協定は、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な法的枠組みです。2015年にパリで開催された、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択され、2016年に発効しました。
パリ協定では、世界共通の長期目標として「地球の平均気温の上昇を産業革命前と比較して2℃より低く保ち、可能な限り1.5℃以下に抑えること」を掲げています。
さらに、世界全体の目標として「21世紀後半には、温室効果ガスの人為的な排出量と森林などによる吸収量の均衡を達成するために、温室効果ガスの排出量をできる限り早くピークアウトすること」も掲げています。
採択国に対しては、専門家によるレビューを受けた目標を設定することが求められています。目標の達成義務は設けられていませんが、進捗度合いを確認するために5年ごとに目標を更新することになっています。
SDGs (持続可能な開発目標)
SDGs(持続可能な開発目標)は、国際社会が共に取り組むべき17のゴールと169のターゲットから構成される、持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。2015年9月位開催された国連サミットで採択されました。
SDGsは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、貧困と飢餓の撲滅、健康と福祉の向上、教育の普及、ジェンダーの平等、クリーンな水と衛生の確保、気候変動の対策など、人類が直面する重要な課題について目標が設定されています。
これらの目標は、経済的、社会的、環境的な側面を総合的に含んでおり、2030年までに全て達成することを目指しています。
環境問題への身近な対策として私たちにできることは? -取り組み事例
地球を取り巻く環境問題は、私たちひとりひとりの生活環境を危ぶむ究極の課題と言えます。しかし、世界や日本、企業が対策に取り組むだけでは解決できません。
ここからは、我々が日々の生活の中で何ができるのか、具体的な取り組み事例についてご紹介します。
ゴミの削減
ゴミの排出量を削減する取り組みとして「3R」があります。
3Rとは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称です。
身近にできる取り組みとして、マイバッグや水筒を利用する(リデュース)、中古製品を購入する(リユース)、資源ごみの分別回収に協力する(リサイクル)ことが挙げられます。
移動手段の選択
自家用車での移動は便利な分、ガソリンを使用するため排気ガスによる大気汚染や地球温暖化に影響を与えてしまいます。またガソリンは化石燃料からできているおり、資源の量に限りがあります。
バスや電車などの公共交通機関を利用する、近所へ出かけるときは徒歩や自転車を利用するなど、環境負荷の少ない移動手段を検討しましょう。
また最近では、都市部で自転車や電動キックボードのシェアリングシステムが増えてきており、これらの移動手段を活用するのも良いでしょう。
節水・節電
節水や節電も地球環境や資源を守る取り組みとして効果があります。
具体的には以下の取り組みが挙げられます。
-節水
・洗濯の回数を減らしまとめて洗う
・洗濯にお風呂の残り湯を利用する
・油汚れの目立つ食器は紙で油分を拭き取ってから洗う
・お風呂のお湯の張りすぎ・沸かしすぎに注意する
-節電
・使っていない部屋の電気を消す
・LED照明に切り替える
・冷暖房の使い方を見直す
・冷蔵庫を開けっぱなしにしない
食材・食品の選択
食材や食品の選択に配慮することは、フードロスの削減や生物多様性を守ることに効果があります。
具体的には以下の取り組みが挙げられます。
・飲食店では食べられる量だけ注文する
・食材は使い切れる量だけ購入する
・地産地消の食材を選ぶ
・環境にやさしい方法で作られた商品を選ぶ
環境問題について学ぶ
環境問題について学ぶことも重要です。
学ぶだけでは効果がないと思うかも知れませんが、知識があれば、エネルギー効率の良い製品を選ぶ、リサイクル可能な素材を選ぶ、または公共交通機関を利用するなど、より環境に優しい選択をすることが可能になります。
さらに、環境問題についての理解が深まれば、地球温暖化や海洋汚染などの大きな問題に対する解決策を見つけるための政策決定に影響を与えることができます。
つまり、これまで紹介してきた内容の理解を深めることで、地球環境に配慮した選択ができるようになるのです。
【まとめ】環境問題へ関心を持ち、簡単にできることから取り組もう!
この記事では、環境問題に対する世界の取り組みと、私たち個々人が取り組める活動について紹介してきました。
環境問題と聞くと規模が大きく今すぐできることはないのでは?と思うかもしれませんが、日々の生活の中で地球に優しいエコな選択を意識するだけでも、地球を守るための一歩になります。
地球の未来を守るために、今日からでも遅くはありません。私たち一人一人が地球を守るための行動を始めてみましょう。